「もしものとき、自分はどんな医療を受けたいのか」「家族に負担をかけずに最期を迎えるには?」――そんな不安を抱えながらも、なかなか家族と話し合えていない方は多いのではないでしょうか。近年、終活の文脈でも広く知られるようになってきたのがACP(人生会議)です。この記事では、ACPの基本から具体的な進め方、家族への切り出し方、使えるシートや相談先まで、わかりやすく徹底解説します。
ACPとは?30秒でわかる定義と「人生会議」の意味

ACP(エーシーピー)という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。終活に関心を持つ方の間でも広まりつつあるこの概念は、「もしものとき」に備えて自分の意思を整理し、大切な人と共有するための取り組みです。
一見難しそうに聞こえますが、その本質はとてもシンプルです。「自分がどう生きたいかを考え、周囲に伝えておくこと」――これがACPの核心です。
ACPの正式名称はAdvance Care Planning
ACPの正式な英語表記はAdvance Care Planning(アドバンス・ケア・プランニング)です。日本語に直訳すると「事前ケア計画」となりますが、意訳すれば「将来の医療・ケアについて前もって計画すること」です。
具体的には、本人が将来の医療や介護に関する希望をあらかじめ考え、家族や医療・介護の専門職と繰り返し話し合い、その内容を共有・記録するプロセス全体を指します。
重要なのは、ACPが「一度決めたら終わり」ではなく、繰り返し話し合い、必要に応じて更新していく継続的なプロセスだという点です。人生の状況や価値観は変化するため、定期的な見直しが推奨されています。参考:厚生労働省「人生会議」してみませんか
厚労省が採用した「人生会議」とは
厚生労働省は、ACPをより多くの人に身近に感じてもらうため、2018年にACPの愛称として「人生会議」を採用(公募で決定)しました。
「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉は医療従事者には馴染み深いものの、一般の方には難解に感じられることがありました。そこで、より親しみやすく、誰もが当事者意識を持って取り組めるよう「人生会議」という呼び名が広く使われるようになったのです。
また、11月30日(いい看取り・看取られ)は「人生会議の日」とされ、この時期に合わせて各地で啓発活動が行われています。「人生会議」という言葉には、医療だけでなく、その人の人生全体を大切にするというメッセージが込められています。
【図解】ACPを一言で説明すると
ACPを一言で説明するなら、「もしものときのために、自分の望みを整理して大切な人と共有するプロセス」です。
以下の図で、ACPの構造を整理してみましょう。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 誰が | 本人(意思決定の主体) |
| 誰と | 家族・医療介護スタッフ・信頼できる人 |
| 何を | 医療・介護の希望、価値観、最期の場所など |
| いつ | 元気なうちから(繰り返し) |
| どうする | 話し合い・記録・共有・更新 |

終活におけるACPの位置づけと重要性

終活という言葉が一般に広まって久しいですが、終活=エンディングノートや遺言書の作成、と思っている方も多いかもしれません。実はACPは終活の中でも特別な位置づけを持っており、他の準備とは異なる役割を担っています。
終活の全体像とACPの役割【図解】
終活は大きく分けると、「死後の手続き・財産に関する準備」と「生きている間の医療・ケアに関する準備」の2つに分類できます。
| 終活の種類 | 主な内容 | 代表的なツール |
|---|---|---|
| 死後の準備 | 財産・相続・葬儀・お墓 | 遺言書・エンディングノート |
| 生前の準備 | 医療・介護の希望・価値観 | ACP(人生会議) |
ACPは「生きている間の質」を守るための準備です。突然の事故や病気で意識を失ったとき、自分の意思を代わりに伝えてくれる人がいるか、望む医療を受けられるか――そうした「もしも」に備えるのがACPの本来の役割です。参考:日野市「もしものとき」について話し合おう(人生会議)
エンディングノート・遺言書・尊厳死宣言書との違い
ACPと混同されやすいツールがいくつかあります。それぞれの違いを明確に理解しておきましょう。
| ツール | 目的 | 法的効力 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| ACP | 生前の医療・ケアの意思共有 | なし(プロセス) | 価値観・医療希望・介護希望 |
| エンディングノート | 自分の情報・希望の記録 | なし | 葬儀・財産・連絡先など |
| 遺言書 | 死後の財産・相続の指定 | あり(法的拘束力) | 財産分配・後見人指定など |
| 尊厳死宣言書 | 延命治療拒否の意思表示 | 法的拘束力はなく、意思を示す参考資料になり得る | 延命措置の具体的な希望(拒否を含む) |
最大の違いは、ACPは「文書を作ること」が目的ではなく、「話し合うプロセス」そのものが目的という点です。エンディングノートや遺言書が「記録物」であるのに対し、ACPは継続的なコミュニケーションの在り方です。参考:大阪公立大学医学部附属病院 人生会議(=ACP)してみませんか?
ACPが今注目される3つの理由
なぜ今、ACPが注目されているのでしょうか。その背景には3つの社会的な理由があります。
① 超高齢社会の進行:日本では65歳以上の人口が全体の約30%に達しており、認知症を含む判断能力の低下が社会問題となっています。本人が意思表示できなくなる前に準備をしておく必要性が高まっています。
② 医療技術の高度化:現代医療は延命技術が飛躍的に発展しており、「どこまで治療を続けるか」という選択を迫られる場面が増えています。本人の意思がなければ、家族や医療者が判断に苦しむケースが後を絶ちません。
③ 在宅死・在宅医療の普及:「住み慣れた自宅で最期を迎えたい」と希望する人が増える一方、実際の死亡場所の割合は年次や定義によって変動します。たとえば2023年は自宅で亡くなる方が2割弱(約17%)程度という整理もあり、希望と現実に差があることが指摘されています。その差を埋めるためにも、事前の話し合いが重要です。参考:One’s Ending「人生会議(ACP)とは~終活との違いや内容を解説」
ACPで話し合う7つの項目|何を決めておくべきか

「ACPで話し合うべきことは何?」と疑問を持つ方のために、具体的な7つの項目を解説します。これらすべてを一度に決める必要はありませんが、把握しておくことで話し合いがスムーズに進みます。

延命治療・緩和ケアの希望
ACPの中核となる項目が、延命治療に関する希望です。具体的には以下のような選択肢を考えておく必要があります。
- 心肺蘇生(CPR)を希望するか否か
- 人工呼吸器の使用を望むか否か
- 胃ろうや経鼻栄養など人工栄養補給を望むか否か
- 痛みや苦しみを和らげることを優先する緩和ケアを希望するか
重要なのは「延命治療をしない」と口頭で伝えるだけでは、状況によっては意図が十分に伝わらないことがある点です。話し合った内容は、メモやACPシートなどに記録して家族や医療・介護者と共有しておくと、いざというときに役立ちます。

介護の場所と方法の希望
介護が必要になったとき、どこで・どのように介護を受けたいかを話し合っておくことも重要な項目です。
- 自宅での介護を希望するか(誰に介護してもらいたいか)
- 特別養護老人ホームや有料老人ホームへの入居を希望するか
- 認知症になった場合でも自宅にいたいか
- 家族に介護の負担をかけたくない場合の代替案はあるか
介護の希望は、家族の生活状況や経済的な背景にも深く関わります。「できれば自宅で」という希望であっても、家族の状況によっては難しいこともあるため、現実的な話し合いが求められます。
代理意思決定者の指名
代理意思決定者とは、本人が意思を表示できなくなったときに、本人に代わって医療・ケアの意思決定をしてくれる人のことです。
代理意思決定者は必ずしも配偶者や子どもである必要はありません。本人の価値観をよく理解しており、冷静に判断できる信頼できる人であればよいのです。
代理意思決定者を指名する際には、事前にその人に「お願いしたい」と伝え、了承を得ておくことが不可欠です。知らないうちに指名されていた場合、その人が非常に大きな精神的負担を背負うことになりかねません。
大切にしている価値観・人生観
医療や介護の具体的な希望を伝える前に、その根拠となる「自分が何を大切にしているか」という価値観・人生観を共有しておくことが重要です。
- 自分らしく生きることを大切にしたい(たとえ身体的制約があっても)
- 家族や大切な人との時間を最優先にしたい
- 苦痛なく穏やかに過ごすことを最重視したい
- 趣味や仕事を最後まで続けたい
- 宗教的な信仰に基づいた選択をしたい
価値観を言語化することは簡単ではありませんが、「何が一番怖いか」「どんな状態は避けたいか」を考えると整理しやすいという方も多いです。
最期を過ごしたい場所
人生の最期をどこで迎えたいかは、ACPの重要なテーマのひとつです。主な選択肢は以下のとおりです。
- 自宅:住み慣れた環境で家族と共に過ごしたい
- 病院:万全の医療体制の下で最期を迎えたい
- 施設(特養・有料老人ホームなど):プロのケアを受けながら過ごしたい
- ホスピス・緩和ケア病棟:苦痛を和らげることを最優先にしたい
死亡場所の割合は年次で変動しますが、たとえば2023年は病院で亡くなる方が約65%程度という整理もあります。希望を実現するためには、早い段階から意思を伝えておくことが大切です。
知らせてほしい人・会いたい人
意識が低下したり、余命が限られる状況になったりしたとき、「誰に連絡してほしいか」「誰に会いたいか」をリストアップしておくことも大切なACPの項目です。
これには、疎遠になっている親族、学生時代の友人、職場の元同僚、恩師なども含まれます。連絡先(電話番号・メールアドレス)と一緒に記録しておくと、いざというときに家族が困りません。
葬儀・お墓に関する希望
ACPは本来、医療・ケアに関する意思決定プロセスを指しますが、終活の文脈では葬儀やお墓に関する希望も合わせて話し合われることが多いです。
- 葬儀の規模(家族葬か一般葬か)
- 宗教・宗派の希望
- お墓の種類(一般墓・樹木葬・散骨など)
- 遺影として使ってほしい写真
これらの内容はエンディングノートと組み合わせて記録しておくと、遺族の負担を大幅に軽減できます。ACPの話し合いの場で合わせて共有しておくとよいでしょう。
【実践】終活ACPの進め方5ステップ|今日から始める方法

「ACP(人生会議)の大切さはわかったけれど、具体的にどこから手をつければいいか」と戸惑う方のために、今日からすぐに実践できる5つのステップを紹介します。完璧を目指す必要はなく、小さな一歩を踏み出すことが最も重要です。
ステップ1:自分の価値観を書き出す
ACPの出発点は、自分自身の内面と向き合うことです。いきなり医療の細かな希望を考えようとしても難しいので、まずは以下のような問いに答えてみましょう。
- 自分が最も怖いと思うことは何か?(痛み・孤独・家族への迷惑など)
- どんな状態であれば「生きていてよかった」と感じられるか?
- 最期の日々、絶対に妥協したくないことは何か?
- 今まで生きてきて、最も大切にしてきた価値観は何か?
ノートや手帳に書き出すだけでも構いません。答えは「正解」がありません。自分の本音を言葉にすることが目的です。参考:ゼロからはじめる人生会議(神戸大学)
ステップ2:話し合う相手を決める
価値観を整理できたら、次は誰と話し合うかを決めます。ACPの話し合いには以下のような人が関わることが多いです。
- 家族(配偶者・子ども・きょうだいなど):最も身近な存在で、実際に意思決定に関わる可能性が高い
- 主治医・かかりつけ医:医療の専門家として現実的な選択肢を教えてくれる
- 信頼できる友人・知人:家族に言いにくいことを話せる場合も
- 医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャー:専門的サポートを得たい場合
最初から全員と話し合う必要はありません。まずはもっとも信頼できる1人と話してみることから始めましょう。
ステップ3:話し合いの場を設ける
話し合いの場は特別に設ける必要はありません。日常のさりげない会話の中に取り入れるのが、家族に受け入れられやすい方法です。
たとえば、テレビで医療や介護のニュースを見たとき、知人が入院したとき、家族の誕生日や年末年始に自然な流れで話題にするなどが効果的です。
一方、真剣に腰を据えて話し合いたい場合は、食事の席や穏やかな休日の午後に時間を設けるのもよいでしょう。「今日は大事な話がしたい」と事前に伝えておくと、相手も心の準備ができます。参考:郡山市「人生会議(Acp)について」
ステップ4:話し合った内容を記録する
話し合った内容は、必ず記録に残すことが大切です。口頭だけでは、時間が経つと記憶が曖昧になったり、本人が意思表示できなくなったときに伝わらなかったりするリスクがあります。
- ACPシート(厚労省や自治体が提供する様式)に記入する
- エンディングノートにACP項目を追記する
- 医療機関のカルテ・介護記録に反映してもらう
記録は本人が保管するだけでなく、代理意思決定者や主治医にもコピーを渡しておくと、いざというときに活用されやすくなります。
ステップ5:定期的に見直す
ACPは一度作成したら終わりではありません。人生の節目ごとに見直し、更新することが推奨されています。
見直しのタイミングの目安は以下のとおりです。
- 重大な病気や手術を経験したとき
- 身近な人(家族・友人)が亡くなったとき
- 介護が必要になる状況の変化があったとき
- 年に1回の誕生日や年末年始などの節目
- 価値観や考えが変わったと感じたとき
「今の自分の希望」を定期的に確認・更新することで、ACPはより実効性を持つものになります。参考:郡山市「繰り返し話し合い、共有する取り組み」
家族との話し合いで使える会話例・質問リスト

ACPの重要性はわかっていても、「どうやって切り出せばいいか」と悩む方は非常に多いです。ここでは実際に使える具体的なフレーズや質問リストを紹介します。

話し合いを切り出すフレーズ5選
自然な流れで話題を出すために、以下のフレーズを参考にしてください。
- 「最近○○さんが入院したって聞いて、自分のことも考えるようになったんだけど……」
- 「テレビで人生会議って見たんだけど、うちでもそういう話をしておいた方がいいかなって」
- 「もし私が突然倒れたとき、どうしてほしいか話しておきたくて」
- 「お互い元気なうちに、大事なことを確認し合っておきたいんだけどいい?」
- 「先生に終活の話をしてみたら、人生会議っていうのをすすめられて……」
いずれも「自分事」として切り出すのがポイントです。相手を説得しようとするのではなく、自分の気持ちや不安をオープンに話すことで、家族も安心して応答できます。
話し合いで使える質問リスト10選
話し合いの中で使える具体的な質問を10個紹介します。一度にすべてを聞く必要はなく、会話の流れに合わせて使いましょう。
- 「もし倒れて話せなくなったら、誰に代わりに決めてほしい?」
- 「延命治療についてはどう考えてる?」
- 「最期はどこで過ごしたい?自宅?病院?施設?」
- 「一番大切にしていることって何?」
- 「やり残したいことや、叶えたい夢はある?」
- 「介護が必要になったら、誰にどう関わってほしい?」
- 「お葬式はどんなふうにしたい?」
- 「お墓はどうしたいか考えてる?」
- 「亡くなったとき、誰に知らせてほしい?」
- 「この話し合いをして、何か気持ちが変わったことはある?」
避けるべきNGフレーズと言い換え例
善意のつもりでも、相手を傷つけたり話し合いを閉じてしまうフレーズがあります。以下の言い換え例を参考にしてください。
| ❌ NGフレーズ | ✅ 言い換え例 |
|---|---|
| 「もうすぐ死ぬから」 | 「もしものときのために」 |
| 「延命治療はしないよね?」(誘導) | 「延命治療についてはどう思う?」(オープン質問) |
| 「早く決めておかないと」(焦らせる) | 「今すぐ決めなくていいけど、一緒に考えたい」 |
| 「こうすべきだよ」(押しつけ) | 「あなたはどう感じる?」(本人の意思を尊重) |
ACPがうまく進まないときの対処法

ACPを始めようとしても、思い通りに進まないことは珍しくありません。よくある3つのケースと、その対処法を紹介します。
家族が「縁起でもない」と拒否する場合
日本の文化的背景では、死や病気を「縁起でもない」と話し合うことをタブー視する傾向があります。家族に話し合いを断られても、「拒否された=終わり」ではありません。
対処法①:別のきっかけを待つ 知人の入院・テレビの報道・健康診断の結果など、自然なきっかけを使って再度アプローチしてみましょう。
対処法②:「死の話」ではなく「生き方の話」として切り出す 「死について考えよう」ではなく「これからどう生きたいか話したい」というフレームに変えると、受け入れられやすくなります。
対処法③:自分だけでも準備しておく 家族の協力を得られなくても、自分自身の考えを整理して書き残しておくだけでも意味があります。
自分自身が考えたくない・向き合えない場合
「死について考えるのが怖い」「まだ若いから必要ない」と感じている方も多いはずです。しかし、事故や突然の病気はいつ誰にでも訪れる可能性があります。
無理に一気に考えようとせず、「最期に聴きたい曲は何だろう?」「どんな景色の中にいたい?」といった小さな問いから始めると、自然と自分の価値観に気づくことができます。
また、専門家(医療ソーシャルワーカーや終活カウンセラーなど)に相談することで、気持ちの整理がつきやすくなる場合もあります。
認知症の兆候がある家族のACP
認知症が進行すると、本人が意思決定できなくなります。だからこそ、認知症の兆候がある段階でこそ早めにACPを始めることが重要です。
軽度認知障害(MCI)や初期の認知症でも、本人の意思は十分に確認できることが多いです。家族や主治医と連携しながら、本人の意思を最大限尊重した形で進めることが大切です。
認知症ケアに詳しい地域包括支援センターや医療ソーシャルワーカーへの相談も有効です。参考:アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは?(Ameria)
ACPシート・テンプレートの入手方法

ACPで話し合った内容を記録するためのシートは、さまざまな機関から無料で提供されています。自分に合ったものを選んで活用しましょう。

厚生労働省の公式ACPシート
厚生労働省では、「私の心づもり」と題したACPシートを公式に提供しています。このシートは、自分の大切にしていること・望む医療・ケアの希望・代理意思決定者などを記入できる形式になっており、A4用紙1〜2枚にまとめられたシンプルな様式です。
厚生労働省のウェブサイトから無料でダウンロードできます。医療機関や介護施設でも配布していることがありますので、主治医やケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう。
自治体が提供する無料ACPシート例
多くの自治体が独自のACPシートやガイドブックを作成・配布しています。たとえば、大村市医師会では「ACPの手びき」を作成し、地域の医療・介護機関と共通のフォーマットで使用しています。参考:大村市医師会「ACP(人生会議)・ACPの手びき」
自治体によって様式や内容は異なりますが、地域の実情に合わせた使いやすいものが多いです。お住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみてください。参考:高岡市「あなたも終活について考えてみませんか?」
エンディングノートとの併用方法
ACPシートとエンディングノートは、互いを補完し合う関係にあります。エンディングノートには財産・葬儀・連絡先などを記入し、ACPシートには医療・ケアに関する意思を記入するという使い分けが理想的です。
エンディングノートのACP欄に「詳細はACPシートを参照」と記載しておくと、家族が必要な情報をまとめて確認できます。二つの書類を同じ場所に保管し、保管場所を家族に伝えておくことが重要です。
終活ACPの相談先一覧|専門家のサポートを受けたいとき

ACPを自分だけで進めるのが難しいと感じたとき、頼れる相談先があります。無料で相談できる窓口から、専門家に依頼する有料サービスまで、状況に合わせて選びましょう。

無料で相談できる3つの窓口
① 地域包括支援センター 各市区町村に設置されており、高齢者の医療・介護・生活全般に関する相談を無料で受け付けています。ACPに関しても、専門の社会福祉士や保健師が相談に乗ってくれます。
② かかりつけ医・主治医 普段から健康を管理してもらっている医師は、ACPにおける最も重要なパートナーです。健康診断や定期受診の際に「人生会議について相談したい」と伝えてみましょう。
③ 市区町村の高齢福祉課・介護保険課 各自治体の担当窓口では、ACPシートの提供や講座・セミナーの案内、相談先の紹介などを行っています。電話でも相談可能な自治体が多いです。
有料サービス・専門家に依頼する場合
より専門的なサポートを求める場合は、以下のような有料サービスや専門家への相談も選択肢となります。
- 終活カウンセラー・終活アドバイザー:ACP全般の整理を手伝ってくれる専門家。終活関連の相談窓口や葬儀社が提供する場合も。
- 医療ソーシャルワーカー(MSW):病院や在宅医療機関に所属し、医療と生活の橋渡しをする専門家。ACP支援にも積極的に関わる。
- 行政書士・弁護士:尊厳死宣言書の作成や任意後見契約など、法的な文書を整えたい場合に相談できる。
- ケアマネジャー:介護保険を利用中の方は、担当ケアマネジャーにACP支援を相談できる場合が多い。
費用は内容によって異なりますが、初回相談を無料で受け付けている機関も多いため、まずは気軽に問い合わせてみましょう。
まとめ|ACPは「一度きり」ではなく「何度でも」話し合うもの

ACP(人生会議)は、死に向けての準備ではなく、「自分らしく生き、自分らしく最期を迎える」ための前向きなプロセスです。完璧な答えを出すことが目的ではなく、大切な人と思いを共有することに意味があります。
人生観や価値観は変わります。体の状態も変わります。だからこそACPは、一度で終わるものではなく、繰り返し話し合い、更新し続けるものなのです。今日の自分の気持ちを、まず誰かに話してみることから始めてみてください。
この記事の要点チェックリスト
- ✅ ACPとはAdvance Care Planningの略で、厚労省が「人生会議」を愛称として採用した
- ✅ ACPは「話し合うプロセス」が目的であり、エンディングノートや遺言書とは異なる
- ✅ 延命治療・介護の場所・代理意思決定者・価値観など7項目を話し合う
- ✅ 家族への切り出しは「自分事として・生き方の話として」が有効
- ✅ 認知症の兆候がある段階こそ早めにACPを始めることが重要
- ✅ 厚労省や自治体の公式ACPシートを活用し、記録・共有・更新を繰り返す
- ✅ 相談先は地域包括支援センター・かかりつけ医・自治体窓口が無料で利用できる
今日からできる3つのファーストアクション
アクション①:自分の価値観を3つ書き出す 「自分が最も大切にしていること」「一番避けたいこと」「最期に叶えたいこと」の3つを、今すぐノートに書いてみましょう。これだけでACPの第一歩になります。
アクション②:厚生労働省の「人生会議」ページを見てみる 厚生労働省「人生会議」してみませんかにアクセスし、公式のACPシートをダウンロードしてみましょう。
アクション③:信頼できる1人に「話したいことがある」と伝える 完璧な準備は必要ありません。「最近、もしものことを考えるようになって……」と誰かに話しかけることが、最大の一歩です。参考:神戸大学「人生会議とは?」


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